先日「契約不適合責任について教えてください」って一般の方から電話がありました
“契約不適合責任” は2020年4月1日に施行された改正民法で
それ以前は “瑕疵担保責任” というものでした
契約不適合責任とは
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときに 売主が買主に対して負う責任をいいます たとえば、商品が不良品であった場合に売主が買主に対して負う責任がこれに当たります
不動産取引においては 売主は自己が売る物件について 建物の傾きや雨漏り 土地の土壌汚染など 欠陥や不具合について責任を負う事を言います
この契約不適合責任について 一般人が売主の場合は免責にすることが出来ますが その場合は 売主がその責任を負わないことを明記する必要があります と言うことは 免責の特約が無ければ責任を負う必要があります
簡単にいうと 契約不適合責任とはこんな事です
その質問者さんは 不動産売買契約が完了(あくまでも契約が終わっただけで取引は進行形です)したんだけれど 仲介業者(B)から 「契約不適合責任は当社がみます」って言われたそうです
で そんなことは有るのか? と言うのが質問でした
ワタシの答えは 仲介業者が契約不適合責任を負うことはあり得ません
売主さんに心配を掛けたくないと言う意図なら 売り出しの条件で「売主の契約不適合責任免責」として売り出せばいいことで有って 仲介業者が負うこと(負えること)では有りません
で お話を聞いていると “??なんか変な感じ??” なんです
お話しした内容は複雑すぎて文章にするのが難しくて書けませんが
要は その不動産業者(B)は仲介会社では無く買主なんです
売主(A)→不動産業者(B)という取引です
ならば 特約で「売主の契約不適合責任免責」とすればいいんです
話を聞いてると やっぱりなんか変なんです
よくよく聞いて行くと 「三為契約」
昔で言う「中間省略」と言う取引です
A → B → C と言う取引で
普通は→(矢印)毎に所有権移転登記を行うんですけど
「三為契約」ではBは所有権移転登記を省略するんです
だから 以前は中間省略と呼ばれてました
決して違法な取引では無く 認められていました
ただ 売主の了承(承諾)無く 中間省略をする
例えば 売買価格から100万円の値段交渉をして
100万円の値幅が出来たら 仲介会社の関係者・関連会社(B)が その安くなった価格で購入する契約をして 元の値段で C に売る
この取引では 売主AはBが買主だと思っていて 買主CはBが売主だと思っているんです
A → → → C の間には100万円の差額が有って
そればBが利益にするんです
それもAには内緒で
この時に登記をすると登録免許税などが掛かるので Bの利益が減るから 登記を中間省略するんです
もちろん買い換えで資金計画の都合上 登記を省略することは有りますが
この時は 売主Aが納得・理解した上で中間省略を行います
ただ 以前流行った中間省略は 売主の承諾無しで
もっと言うと Aに黙って Aを騙して Bまたは仲介会社とBが儲けるために行われていました
あまりにもひどいので この中間省略登記は禁止になりました
が
やはり買い換え資金の都合上 中間省略が必要な場合も有るので 新しい形式で 中間省略登記が認められるようになりました
それが “三為契約” です
“Aに黙って Aを騙して” を防ぐために 契約書にはその文言を明記して
説明を受けて 売主Aが理解・納得して 中間省略を認めると言う書面にAが印鑑を押すことで
“三為契約” が認められるんです
複雑ですが ここまで理解していただけましたよね
相談者さんは知らない間に A → B → CのAに成ってたんです
曰く「何かそれらしい書類にハンコを押した」とも言っていました
その それらしい書類というのが 中間省略を認めると言う書類です
「何か説明をされたけど サッパリ理解出来なかった」とも
だから Bが契約不適合責任を負う って言うのも納得です
仲介者では無く 当事者なんですから
「貴方が契約不適合責任を負わなくていいんですよ~ 当社が追いますからね~ だからこの取引は貴方にとってメリットがあるでしょう~」
って 上手いこと言うたんでしょ
やられてます
A → C 間の差額がいくらなのかは 分かりませんが
Aの立場で言うと その差額分安く売らされた
Cの立場で言うと その差額分高く買わされた
って言うことです
相談者さんとは30分以上話しましたが
最後に「これって “三為” っていうヤツですか?」って
なんか変だぞ!? と思って
ネットで色々と調べてたらしいんです
でも まさかご自身が そのAに成ってるとは思って無かったようです
「やられてますか?」
「書類を見てないから100%では無いですが お話を聞く限り やられてますね」
「やっぱり! 悔しい~」って言うてました
まだこんな 不動産業者が居るんですね
では無く 聞く話では こんな業者はいっぱい居ます
騙して儲けたらアカン って
一般的には 登記をお願いする司法書士は 買主側が用意して売主側・買主側の仕事をしてもらう
もしくは 売主側、買主側がそれぞれに司法書士を用意する ものなんですけど
「司法書士 売主指定」
(売主側の司法書士が買主側の仕事もします 買主指定の司法書士は使えません って意味です)
と言うのが 多く見られます
何でやろ??
中間省略を認めると言う書面の確認が甘いんやろか?
知らんけど! たぶん!